聴解

『聴解授業の作り方』(2013)

聴解授業っていつもCDを聴かせて答えあわせするだけになっちゃうけど、どうしたら...。

「先生の日本語はわかるけど、クラスの外で話されている日本語が理解できない」と学生に言われてしまった...。

実はそんなお悩みを抱えている先生は、多いかもしれません。本書にはそんなお悩みを解決する手助けをしてくれるアイディアがたっぷり掲載されています。

聴解授業と言っても、実は「聴く」という活動はそれだけに留まらないことが、本書を読むとよくわかります。

「聴く活動を通して、最終的に何ができることを目標とするのか」を考えさせられる一冊です。

本書の構成

大きく5つの章に分けられています。

  1. 聴解は難しい?
  2. 聴解授業は難しい?
  3. 教える前に
  4. 授業を組み立てよう
  5. 聴解授業のあれこれ

各章の特徴

Ⅰ章 聴解は難しい?

学習者

書いたり読んだりするのは得意なのに、聞き取りが弱い。

学習者

1つの文が長いと理解に時間がかかって、わからなくなってしまう。

第1章では、このような学習者がよく抱えるであろう問題が挙げられ、どのような言語学的背景があってそのような問題が起こるのかが述べられています。

語彙が足りないから、母語と語順が違うから、文構成がわかっていないから、など学習者の聴解における問題を分析するのに、とても役立ちます

Ⅱ章 聴解授業は難しい?

第Ⅱ章では、今度は教師のお悩みに答える形で、聴解授業の進め方が説明されています。さらに詳細を知るために、本書のどのページを読めばいいのかも指示があります。

Ⅲ章 教える前に

この章では、私たちが普段「聞く」という行動の中で、どのような作業を自然と行っているのかがフローチャートを用いて詳しく説明されています。

  • 聴解授業の役目とはいったい何なのか?
  • 聴解授業で一体何を学習するのか?

授業を始める前にこれらを教師がきちんと理解しておくことは、とても大切なことだと思います。

Ⅳ章 授業を組み立てよう

第4章は以下の項目についての説明があります。

聞く前にする活動

  • 写真や絵を見せて動機付けをする方法
  • 図やグラフを見せて聞き取りやすくする前準備
  • 語彙や表現の導入の仕方など

聞いている時の教師の役割

  • どのように学習者への声かけをしたらいいか
  • トラブルへの対応方法

聞いた後のまとめ

  • 答え合わせと内容確認の方法
  • 内容確認の際の会話の流れ

他技能で広げる時間

  • 聞いてから、読んだり書いたり話したりする活動へとつなげる方法
  • 最後のまとめの方法

それぞれの項目で教師と学生の会話例が細かく書かれており、学生とどのような対話をしながら活動を進めていけばいいのか、非常にわかりやすくまとめられています。

また、オリジナル教材の作成時に参考となるサンプルワークシートがあり、さらにカリキュラムの作り方も授業のタイプによってそれぞれサンプルスケジュールが載っています。

聴解テストの評価方法についても記載があり、授業スタイルに応じた評価表も見ることができます。

Ⅴ章 聴解授業あれこれ

実際の聴解クラスに導入できる様々なアイディアが載っています。チャンツやディクテーションを始め、朗読劇やドラマを使った活動案、スピーチやテレビCMを使った教材例など、たくさんあります。

初級用の聴解活動から上級用まで、様々なレベルで使える活動案が載っており、読んでいるだけでアイディアが膨らみます。

この書籍を参考にしたアクティビティ活動

「聴解+敬語」をテーマにした活動です。動画を見てワークシートの穴埋めを行います。サンプルとしてダウンロードできる穴埋めワークシートもありますが、本書を参考に他の場面を想定して教材を自作してみるのもいいと思います。

昔話はよく日本語教育の教材に使われますが、今回は本書に掲載されているイラストを使用して、聴解練習で使うアイディアを紹介しています。

関連情報

関連書籍

教師の七つ道具シリーズとして、色々と出ています。

また、こちらは本書に出てくる教材の参考資料として使われている書籍です。こちらもおもしろそうです。

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聴解クラスを担当する先生は、持っておいて損はない一冊だと思います!

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