アクティブラーニング

『日本語教師のためのアクティブ・ラーニング』(2019)

「アクティブ・ラーニング」という言葉がよく聞かれる昨今ですが、一体何をもって「アクティブ・ラーニング」というのでしょうか。

まずはそんな言葉の定義、特徴、そして従来の授業を少し変えることでアクティブ・ラーニングになる活動のアイディアがたくさん載っています。

『日本語教師のためのアクティブ・ラーニング』の特徴

2019年6月 くろしお出版
横溝 紳一郎 (著), 山田 智久 (著)
¥2,400(本体価格) A5版 320p

1. アクティブ・ラーニングとは何か?

    • A アクティブ・ラーニングの定義
    • B アクティブ・ラーニングが登場してきた社会的背景
    • C これからの社会に求められる資質・能力
    • D アクティブ・ラーニングに期待されているもの
    • E 日本語教育にアクティブ・ラーニングは必要なのか

2. アクティブ・ラーニングの特徴

    • A 「学び」とは何か?
    • B アクティブ・ラーニングの三つの視点
    • C 学習の能動性
    • D アクティブ・ラーニングに対する疑問
    • E アクティブ・ラーニングを引き出す授業
    • F アクティブ・ラーニングと授業規律
    • G アクティブ・ラーニングを引き出す授業と3要素(主体的・対話的で深い)の関係
    • コラム① 時間の制約がある場合の授業設計

3.アクティブ・ラーニングを実現するための視点

    • A 先行研究から見る授業改善の「視点」
    • B 本書における授業改善の「視点」
    • コラム② 学校の方針や現行のカリキュラムとどう調整するのか?

4. アクティブ・ラーニングの視点での授業改善―既存の授業を変える―

    • A 導入
    • B 文法説明
    • コラム③ バックワード・デザイン(逆向き設計)

    • C 文法練習活動
    • コラム④ Can-Doリスト

    • D スピーキングの指導
    • コラム⑤ パフォーマンス評価とルーブリック

    • E ライティングの指導
    • F リーディングの指導
    • G リスニングの指導
    • コラム⑥ グループ学習と協同学習

5. アクティブ・ラーニングの視点での授業改善―ICTで教室を変える―

    • A テクノロジーと教室
    • B オンライン学習のさまざまな形態
    • C オンラインストレージで教材を共有しよう―Dropbox―
    • D オンラインでのディスカッションの場を作ろう―lino―
    •   コラム⑦ 最強のパスワード

    • E メールを使わないで授業報告をしよう―slack―
    • F オンラインで授業記録を共有しよう―Googleスプレッドシート―
    • G オンライン練習問題を作ろう① ―Googleフォーム[基礎編]―
    • H オンライン練習問題を作ろう② ―Googleフォーム[動画編]―
    • I オンライン動画を日本語の授業に活用しよう―JMOOC―
    • J 発表をオンラインで共有しよう―発表動画をYouTubeに―
    • K 反転学習教材の作り方―授業動画をYouTubeに―
    •   コラム⑧ 学習者のふり返りを支援するには?(その1)

    • L 発表の文字起こしの負担を減らそう―oTranscribe―
    • M インタラクティブなコミュニケーションを促進しよう―sli.do―
    • N オンラインアンケートを作ろう―SurveyMonkey―
    • O オンラインでリアルタイムに授業をしよう―Zoom―
    •   コラム⑨ AIは教師の仕事を奪うのか?

6. 日本語教育におけるアクティブ・ラーニングの可能性

    • A 日本語教師としてできること・すべきこと・やってはいけないこと
    • B アクティブ・ラーニングを引き出す授業による学習者の変容
    •   コラム⑩ 学習者のふり返りを支援するには?(その2)

    • C アクティブ・ラーニングを引き出す授業による教師の変容

アクティブ・ラーニングとは?

アクティブと聞くと、体を動かすゲームなどの身体的にアクティブなものを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、それだけではない「何を持ってアクティブ・ラーニングというのか」どんな背景のもとに生まれたのか」といった理論面が議論されています。

出典『日本語教師のためのアクティブ・ラーニング』p.117

先行研究やキーワードとなるコンセプトが図とともに紹介されていて、わかりやすいです。

アクティブ・ラーニングの視点で授業改善

語彙や文型の導入、文法説明や練習方法で従来の活動をアクティブ・ラーニングを意識した活動へと変えるアイディアが、実践例とともに紹介されています。

文法面だけでなく、

  • スピーキング(会話)
  • リスニング(聴解)
  • リーディング(読解)
  • ライティング(文字・作文指導)

などそれぞれの技能でも具体的なワークシートやイラストが提示されており、活動例としてとても参考になります。

日本語教師のためのアクティブ・ラーニング
出典:『日本語教師のためのアクティブ・ラーニング』p.32

こういったアクティビティには実際の絵やイラストなどもあり、教師の「早速導入してみたい!」という好奇心が駆り立てられます。

プレゼン(発表)や評価(ルーブリック・Can-do)での工夫についても詳しい記述があり、実際の評価表も見ることができます。

ICTで教室を変える

Slack Google フォームZoomなどアクティブラーニングを導入する際に役立つICTツールが紹介されています。

それぞれ、登録の仕方から丁寧に説明されているので、使ったことがない方でもこの章を読めば導入できると思います。

関連情報

オンラインの声

この本を参考にしたアクティビティ

比較級の練習をするのに、「りんごとバナナ、どちらの方が好きですか」なんて言われてもいまいちピンとこなかったり、ちょっとつまらないと感じる人も多いはず。それをもう少しアクティブな活動にしてみましょう

聴解練習の一つとして、昔話を使用したアクティビティの例です。ストーリーが長くなる場合は、一度に聞いたり読んだりすると疲れてしまう場合があります。場面ごとに区切りながら進める方法が、『日本語教師のためのアクティブ・ラーニング』のp.167に掲載されています。

この本を買ってみる

アクティブ・ラーニングの活動アイディアが豊富にあるので非常に助かります。ただしそれだけではなく、それを取り掛かりとして教師が「今後どのようにしてアクティブな授業をしていけばいいのか」を指南してくれる書籍だと思います。

何度も何度も読み返しながら教師自身が理解を深め、アクティブ・ラーニングを実践していきたくなる一冊です。

2019年6月 くろしお出版
横溝 紳一郎 (著), 山田 智久 (著)
¥2,400(本体価格) A5版 320p

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